まず前提として言いたいことは、モダンでの『青黒フェアリー』はけして弱いデッキではないということです。先のプロツアー・神々の軍勢ではTop8に名前を残せませんでしたが、噂によると青黒フェアリーの勝率は低いものではなかったのだとか。リミテッドラウンドで結果を残せなかったプレイヤーは、モダンで『青黒フェアリー』を使って好成績だったそうです。
 《苦花》は弱い、という風潮は、高くて買えないかわいそうな貧乏人の風説のように思えます。そんなことをしても、すでに絶版で再録ほぼ不可能なこのカードが、大幅に値下がることはありえない気がします。在庫を早いうちに捌く理由も見当たりませんしね。

 長くなりましたが本題、『青黒フェアリー』におけるマナベースの問題について解説します。参考として、2/16開催のMOプレミアイベント優勝のリストを載せます。

4《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit(WWK)》
4《闇滑りの岸/Darkslick Shores(SOM)》
4《島/Island》
4《変わり谷/Mutavault(M14)》
4《涙の川/River of Tears(FUT)》
4《人里離れた谷間/Secluded Glen(LRW)》
2《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》
 これで26枚。デッキの構造上ドローカードやライブラリー操作カードを入れられないためマナカーブに対して多めかもしれませんが、3枚ストップ=死ともいえるデッキですので枚数はこれが良いと思います。
 これは黎明期のたたき台としては良いものかもしれませんが、例えるなら《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が使えたエクステンデッド環境で《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》が採用されていた『ジャンド』のようなもの。もう少し練り込みが足りないと感じます。考察を踏まえて、多少の調整を施してみます。

3《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit(WWK)》
4《人里離れた谷間/Secluded Glen(LRW)》
4《闇滑りの岸/Darkslick Shores(SOM)》
4《涙の川/River of Tears(FUT)》
2《沈んだ廃墟/Sunken Ruins(SHM)》
3《変わり谷/Mutavault(MOR)》
2《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》
3《島/Island》
1《沼/Swamp》
 上記が、先のFNMにて優勝した時の私のリストです。《苦花》入りのフェアリーというデッキのベストムーブは、
1ターン目(黒)(《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》)
2ターン目(黒)(1)or(青)(1)(《苦花/Bitterblossom(MOR)》or《マナ漏出/Mana Leak(M12)》)
3ターン目(青)(青)(1)(《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》)
4ターン目(青)(青)(青)(1)(《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》)
と出さなければならないというタイトなものなので、無色土地はできる限り少なく、色マナシンボルはできる限り濃くする必要があります。そのために、MOのリストにはない《沈んだ廃墟》を採ることが重要です。
 ただ、無色土地を少なくとはいえど《変わり谷》は必須ですし、苦手なクリーチャー化土地や《ケッシグの狼の地》《ガヴォニーの居住区》などに対抗するために《地盤の際》をゲーム中1枚は引くため最低限2枚はとっておきたいです。
 《沈んだ廃墟》の弱い部分はナチュラルに色マナを出せる土地がなければ色マナがフィルタリングできないところなので、某氏の言葉を借りれば「『青黒フェアリー』において無色マナしか出ない土地は5枚が限度」となります。そのため、固め引きを防ぐため《廃墟》は2枚に抑え、《変わり谷》は3枚にとどめます。
 モダンでは土地フルタップでターンを渡すという行為が即死につながる恐れがあるため、手放しでクリーチャー化土地に頼るわけにはいきません。またタップインというのが致命的になる場面も多々あるので、《タール坑》は3枚です。とはいってもペイライフなく2色出せ、消耗戦においてクロックとなることはあまりあるメリットですので2枚以下に減らす理由はありません。
 基本土地は、全く入れないという選択肢もあるにはあるのですがやはり《血染めの月》などが刺さりすぎるのと、環境の代表的な除去である《流刑への道》のデメリットをなくすことは好ましくないために採用しています。《沼》の採用も《流刑への道》からサーチするためです。
 《人里離れた谷間》の採用はパーミッション的なこのデッキで、手札公開による情報アドバンテージを与えることになるのではないかとの意見もありますが、それは立ち回りによって回避できるもので、多くの場合"フェッチできない《Underground Sea》"となるこのカードが弱いわけはありません。
 《人里離れた谷間》により公開されるフェアリー・カードは、2Tに出す予定の《苦花》ならばなんの損害もありませんし、《ヴェンディリオン》《霧縛り》はそれぞれすぐにアップキープやドローステップに能動的に使用すれば相手はケアの暇がありません。《呪文づまりのスプライト》公開によって相手が呪文キャストをためらえば、ノーコストで《差し戻し》を撃ったようなもの。この"フェアリー専用土地"4枚採用には何の問題もありません。
 唯一の懸念は任意の色マナが出ない可能性がある《涙の川》ですが、インスタントタイミングで黒マナが必要な場面は控えめに採用された単体除去カードくらいで、あとはメインでは《思考囲い》《苦花》くらいなのでそこまで事故することはないかもしれません。ほかの採用するに値する土地が《地底の大河》《水没した地下墓地》で、ダメージランドは、できる限りライフロスを減らしたいこのデッキでフェッチランドや《湿った墓》の採用を見送っているくらいなので採用できません。フェッチ不採用の余波で基本土地を削っていて《水没した地下墓地》は《ディミーアのギルド門》とほぼ同格に成り下がってしまっているので不採用となっています。

コメント

暇仁
2014年3月18日21:55

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