ベルギー・ブリュッセルで行われた『タルキール龍紀伝』にて、惜しくも準優勝となった『青黒ドラゴンコントロール』。ドラゴンをフィニッシャーに据えたこの重コントロールデッキは、長らく鳴りを潜めていたコントロールデッキの復権を感じさせるものでした。

 まずはレシピから。これぞ往年の『ヤソコン』と呼ぶにふさわしい、カードの取捨選択やその枚数に、"らしさ"がにじみ出ています。

26土地
4《欺瞞の神殿》
4《陰鬱の僻地》
2《華やかな宮殿》
4《汚染された三角州》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1《精霊龍の安息地》
6島
3沼

6クリーチャー
3《氷瀑の執政》
2《龍王シルムガル》
1《漂う死、シルムガル》

28
2《思考囲い》
2《胆汁病》
2《究極の価格》
4《シルムガルの嘲笑》
3《英雄の破滅》
2《解消》
2《忌呪の発動》
3《ジェイスの創意》
3《命運の核心》
1《残忍な切断》
3《時を越えた探索》
1《精霊龍、ウギン》

 最初に、土地構成から。目を引くのは『青黒コントロール』では常識のように採用されていた《光輝の泉》が不採用であること。これは、無用な色マナスクリューにより星を落とすことがないようにとのことです。無色土地を不採用にすることで、土地枚数を一般的な27~28から26枚に減らしています。
 また、《アーボーグ》2枚と伝説である不安を抱えていますがこれも色マナトラブルを見越してのこと。その環境下では、フェッチからも黒マナを捻出できることは頭に入れておかなければいけません。1枚挿しの《精霊龍の安息地》もドラゴンをフィーチャーしたこのデッキでは渋く光る1枚。

 次は本題であるメインボードの解説に入ります。まずは《シルムガルの嘲笑》が4枚であること。八十岡氏はその昔、《マナ漏出》は3枚より多く入れたことがない、と語っておられました。その氏が4枚採用するほどの2マナカウンター、どこからどうみても下位互換ですが、良調整された、新時代の《対抗呪文》と呼べるのではないでしょうか。特にマナクリーチャーを入れてないようなデッキではマナがタイトであることが多いため、2マナの《魔力の乱れ》としても非常に強いです。ケアして1マナ余らせ、テンポを失ってくれるならば、それはそれでゲームを長引かせたいこのデッキとしては儲けもの。
 《破滅の刃》亡き後、スタンダード環境では、2マナ以下でテンポの取れる除去というのは存在しませんでした。ここにきて《究極の価格》が再録されたことによって、まだ不完全ながら弱点が補完されることになりました。具体的には《クルフィックスの狩猟者》《オレスコスの王、ブリマーズ》などが後手でも即除去できること。多色環境では有効な場面は少ないですが、例えば今の時点で《喉首狙い》でも採用されようものなら4枚一択となってしまうため、「多色クリーチャーが多いからこそ」再録され得たといえるでしょう。

15サイドボード
3《強迫》
2《層雲の踊り手》
2《軽蔑的な一撃》
1《否認》
1《龍王の大権》
3《悲哀まみれ》
1《悪性の疫病》
 サイドはミラーを強烈に意識しているのか、9枚ものコントロール用サイドが見受けられます。その分バーン寄りの赤系デッキに弱点を露呈しており、決勝戦よろしく《僧院の速槍》から《アタルカの命令》を重ねられて負けるゲームが多そうです。このデッキを喰らうべく増加するであろう赤系をメタるなら、《ジョルベイの闇潜み》《波使い》あたりを入れ替えるのが良さそう。
 《龍王の大権》は、ミラーでも1枚で勝てるフィニッシャー《真珠湖の古きもの》で良い気もするのですが、全体的なバランスをとったのでしょうか。
 サイドボードは基本的に大会によって変えるべきであり、そのままコピーしても失敗する可能性が非常に高いのですが、メインとサイドを合わせた全体的なデッキバランスは流石というべきか、非常に整った構成となっています。

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